2009年11月19日木曜日

学会とは

生産管理学会から学会誌最新号(Vol.16, No.1)が送られてきた。
巻頭言を読んで目が点になった。副会長ともあろう著名な学者(もちろん教員)が、「会員みんなの学会誌の向上にむけて」と題して、論文の書き方、投稿の課題について述べている。
もちろん、巻頭言になにを書くかは執筆者の自由であるけれども、巻頭言は、いわば、学会誌のキーノートであり、副会長は、学会のキーパーソンであるはずだ。したがって、今、生産管理、いいかえると日本のモノ作りが直面している非常な危機に関して、重要なメッセージが大なり小なり述べられてしかるべきではないだろうか。すくなくとも、それを読者は期待しているはずである。
しかし、この著者は、このことに全く関心を示すことなく、書き方指導をしている。学会誌、いや学会にとって、いま、もっともだいじなことは論文の質をあげることであるかのように。
そんなことよりも真剣に、それこそ英知をあつめて、日本のものづくりをどうすべきかが議論されなければ、学者の存在価値さえ無になってしまうという自覚が全くないのだ。
職業人としての学者は、論文を書いて業績を増やし、学会内部で認められることが目的なのだと勘違いしている。そんな業績はゴミ箱に捨てる価値さえない。
積極果敢に、この問題にコミットする姿勢なく、単なるサロンをきどっている学会になんの魅力どころか、存在価値さえもない。